PBW(プレイ・バイ・ウェブ)『シルバーレイン』のキャラクターブログです。
わからない人にはわからないかも…。
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唐突に書きたくなった小説。
久々に恭一のお話。
暑い日だった。
人々は自動車や電車、あるいは建物に引きこもり、文明の利器でそれぞれに避暑をする。おかげで今、恭一が歩いている学園近くの通りには誰も、何も、いない。
「まるでゴーストタウンだな」
一人、呟いて苦笑する。能力者がそんなことを言うと洒落にならない。
通りを抜けた先にある公園、休日に読書をするときに必ず使う場所。ベンチの真上には新緑が広がり、心地よい風をもたらしてくれる。いつものようにベンチに腰をおろし、いつものように手のひらに収まった文庫本を開く。そこに変化は、ない。
ふとした時、少しだけ本に注いでいた集中が途切れた。いい機会と、隣に置いていたペットボトルから、時間がたってぬるくなった水を喉に注ぐ。ぼぅっとしたまま、空を仰ぐ。先ほどまで読んでいた本の内容――推理小説の謎解きが、頭の中でぐるぐると渦を巻き始めた。ああ、これからどんな結末が僕を待ちうけるのか――そう考えた時、ある登場人物の台詞が脳裏をよぎった。
「そこは、そこにあるのかい?」
本の中では、その言葉は単なるダジャレとして簡単に受け流されていた。しかし、よくよく反芻してみると、思ったよりも深い――と、視線を地面に向け、思考の渦へと意識を落とす。
――そことは、何か?
――そこには何があるのか?
――そこは確かにあるのか?
思考は潜る。さらなる渦へ。考えは考えを呼ぶ。
――僕らのやっていることに、底はあるのか?
――何が底なのか?
今はまだ、何も見えない。そこへ向かって意識は潜り続ける。しかし、答えのない思考はいずれ止まる。恭一の思考もまた、終わらない思考の中で、止まった。見渡せばあたりはすでに暗く、空を飛ぶ烏はもはや影となっていた。
「考えたって、仕方ない――のかな」
止まった思考をどうすればいいかもわからず、夕焼けに延びる影は家路をたどっていく。永遠に続く戦い――いずれ来るべき終わりは、果たしてそこにあるのか。閉じた本にはしおりも付けないままに、思考の渦は巡り巡る――。
はい、SSっぽくなっちゃいました。だが後悔はしていない(キリッ
ちなみに、例のダジャレはとある漫画のキャラからの引用です。ゲームでしゃべってたのを思い出したのでネタにしてみました。考えてみると思ったより深い命題かもしれない……。
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