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PBW(プレイ・バイ・ウェブ)『シルバーレイン』のキャラクターブログです。 わからない人にはわからないかも…。
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 誰そ彼の刻に彼は立っていた

 風に大きく靡く髪もそのままに

 白と黒に輝く剣は闇に舞う

 戦場に響く狂歌は一つまた一つと消えゆく

 それでも歌は止みはしない

 最後まで立っていた異形の断末魔を聞いて尚続く歌は

 紛れもなく彼の者自身の咆哮なのだから
 真夜中。
 月の光の下、荒ぶる異形達。その正気の光を感じない視線の中心では、一筋の白い閃きが何度も瞬いていた。

「ふっ、はあっ!」

 漆黒のハーフコートをはためかせ、流れるような剣閃を何度も作る。白い仮面を着け、表情を覆い隠した彼の者は、やがて終息したその場で、返り血を省みる事もなく、眼下に広がる光景を見やり、そうして、休むことなく先へと進む……ここは、通称ゴーストタウン。常識と、非常識の境が無くなった場所。

「今日はやけに、数が多い……?」

 ふと、息を整えながら考える。ゴーストにも、あるいはバイオリズムに近いものがあるのだろうか、とは思うものの、所詮、検証しようもない瑣末なもの。思考を諦め、先へと進もうとした瞬間――『それ』は現れた。

「今日は月が綺麗ね……そう、あの日のように」

 明滅を繰り返す街灯の下、一つの影が音を発する。

「誰だ……?」

「あら……私が誰だか、忘れたの? 私はよぅく覚えてるのに……最後の最期の…その時まで」

満月を背に、『それ』は語る。月光に映える金色の髪を靡かせ、妖艶な声を投げつける。

「その髪…その声…貴様…! ああ、忘れもしない…貴様はぁっ!」

 激昂以下、電光剣を構えた恭一が飛び込む――しかし、その怒りのこもる一撃は、彼女の周りから溢れ出るように現れるゴーストたちの肉壁によって文字通り遮られた。

「あらあら、そんな仮面をつけているのに、そんなに怒っちゃうととても滑稽ねえ?」

 余裕の笑みを絶やすこともなく、こともなげに女性は語る。そうして、空を仰ぐように両手を大きく広げると、無数の蛇が彼女から現れ、恭一を絡め取ってゆく――!

「ぐうっ!? くそ…くそ!」

 ここまでのゴーストとの戦いで、恭一の体力は消耗されていた、しかし、それもまた彼女の策略――ゴーストが多かったのは、彼女の使役するものも混じっていたからだった。絡め取られた恭一が、彼女の眼前へと運ばれる。

「あら…こんなものかしら? 久しぶりの再会にしては、随分とあっけないわねえ…」

「くそ…お前だけは…お前だけはぁ…っ!」

 激情をあらわにしても、どうしようもない状況。彼の心は折れかけ、風前の灯――それでもあきらめないのは、一重に復讐心のおかげでもあろう。

「貴方にはあの時お世話になってるものねえ……もっと充分なお返しがしたいわぁ。……そうだ、こんな趣向は、お好みかしら?」

 彼女がそう言うと、周りには甘ったるい香りが広がっていく。パフューム――? そう気付くも、気力のみで抗うには、この状況は絶望的過ぎた。

「お前などに……っ」

「ふふ、その威勢、どこまで張れるか、見物ねえ?」

 そして上がる絶叫を協奏曲に、常識を失った街の夜は過ぎて―――――。






 ――二日後、渡会の森。

 陽の光さえも茂る木々にさえぎられるこの深い森に、一つの影があった。
その影は、ただひたすら、わずか零れる月の光をいとおしむように、ただ、そこにあった。

「恭ちゃん……?」

 暗がり、簡素にならされた土の道の奥から一人、和服姿の少女が顔を見せる。彼女の名は――渡会綾乃。
 今日は、友人を招いてのお茶会をしていたのだが、途中、少し外の空気を吸ってくると一人森を散歩していた所で、音沙汰なかった恭一からメールが来た。人気のない所まで来てほしい、と。

「やあ、綾乃」

 遥か空へと向ける視線をそらすことなく、応える。

「キミには、大事なものはあるかい? ……いや、聞くまでもなかったかな」

「どうしたの…? いきなり」

「もし、さ……当たり前の日常、幸せの日常、そんなものが一瞬で崩れたら――」

 瞬間、恭一の手が瞬き、まばたきをする間もなく綾乃の眼前まで迫る。しかし、その手は堅い感触に弾かれる。

「鋼誠っ!」

 その感触――クナイの持ち主、鬼頭・鋼誠が綾乃の横から現れる。その顔には既に鬼面が装着され、臨戦態勢だ。

「お主……何のつもりだ?」

 つとめて、つとめて冷静に鋼誠が尋ねる。もし何らかの意図があるなら、と。

「壊してみたくなったのさ、日常って奴を、幸せって奴を……当たり前が、当たり前でなくなる瞬間…それを、キミにも味わってもらいたくなったのさ、鬼頭」

 いつの間に付けたかも分からない仮面越し、表情も分からぬままに、恭一が静かに答える。その言葉から読み取れる感情は――ない。そして、さらに続ける。

「どうだい? 近しいと思っていた人間から突然裏切られる気持ちは? 悲しい? 辛い? 生温い。皆、知るべきなんだよ……絶望を、苦痛を。お前たちが俺に与えたように!」

 電光剣を構え、ゆらり――地面に倒れんとばかりに体を倒した姿勢から、真っ直ぐに突っ込んでくる。その背中越しには何か黒い靄が見えるような――しかし、恭一の猛攻は鋼誠に他に意識をやることを許さない。

「神谷、何を言っておる!? 正気か?」

 一対の光が漆黒を舞う。それを今は防いでいるものの、学園に来てからの二人のキャリアの――単純な戦闘能力における差は、徐々に鋼誠を押し始めていた。

「どうして恭ちゃんが……でも、今はこうするしか……鋼誠っ!」

 一瞬の逡巡ののち、意を決した綾乃は、鋼誠を想愛満月の光で包む。削られていった体力が回復するとともに、暖かな力に身を包まれていくのを感じていく。

「大事な人とのつながりが紡ぐ力……か、ふふ、いいじゃないか、それを砕けば、より深い絶望へ叩きこめる……!」

 恭一は素早く態勢を立て直すと、対の電光剣を柄で繋げ、一本の剣と為した。新たな姿を現したその剣で以て、獲物を一瞬にして叩き伏せんと牙を剥く。
 しかし、月の力を得た鋼誠には、先ほどよりも幾分余裕があった。しっかりと致命傷は避けると、振り返ることなく叫ぶ。

「綾乃! 行け! 行って皆に伝えるんじゃ! 神谷の様子…さっきから何かおかしい、操られている可能性もある。ここは儂が食い止める…行け!」

「……! …ええ、分かったわ。その代わり…」

「…案ずるな、元よりそんなつもりはない」

 こく、と、軽くうなずいて、綾乃は森の奥の闇へと消えていった。すぐ近くにいるはずの仲間の元へ。

「アハ…アハハ、実に格好いいね! 自己犠牲のつもりか? くだらない、くだらない! 
真彩の仇…とらせてもらう!」

 そしてまた低い姿勢から逆袈裟に斬りつける。かろうじて避けたものの、和服に微かな切れ目が走る。

「マヤ……? 誰だ、そやつは?」

「しらばっくれても無駄だ……ようやく分かったんだ、貴様らが…アイツを殺ったことを。だから俺は…貴様等を屠る」

 唐竹、袈裟斬り。恭一の猛攻は留まらない。そして、互いの武器がぶつかり合い、距離を取りあった時――月に照らされた恭一の被るその仮面に、明らかに異質な何かを、鋼誠は感じた。

「(もしや、アレに何か細工が……?)」
 
 しかし、この戦闘の中でそれのみを狙うのは難しい。緩慢と削られる体力の中で、鋼誠は綾乃の読んだ助けを信じ、ひたすらに耐える――。












 というわけで、長らくお待たせしました、偽シナです。
恭一の話が最後まで終わってはおりませんが、それはこの話の核にもなりかねない部分でございますゆえ、ご了承いただきたく思いますれば。

 状況のおさらいです。
 現在、状態不明の恭一を鋼誠が引きとめています。しかし、地力の差と、加えて恭一には何らかの力が作用していると思われます。相愛満月の力があるとはいえ、恐らく、このままではあまりもたないでしょう。

 また、今回は渡会・綾乃(b74204)がNPCとして参戦します。
 何かしてほしいことがあれば、プレイングに盛り込んでください。


 最後に、参加者の上限人数は鬼頭・鋼誠、渡会・綾乃を除外した【8名】
 参加受付期間は3月14日、ただし、定員になればその時点で募集は終了します。参加希望の方は、神谷・恭一(b73549)もしくは渡会・綾乃(b74204)までお手紙頂けると幸いです。
 相談期間は、締切日から2週間、場所は綾乃のベスプレになります。参加者の皆さんには確定次第招待を送らせていただきます。

※1.この話はシリーズ化する可能性があります。
※2.この話は2012/02/20あたりの話となっております、当時の恭一のジョブは『科学×呪剣士』です、ご留意ください。

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