PBW(プレイ・バイ・ウェブ)『シルバーレイン』のキャラクターブログです。
わからない人にはわからないかも…。
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気が付けば前編を公開して1年たっていた事実orz
というわけで、内容忘れている方多いでしょうが、よかったらカテゴリから読み直していただけると幸いな所。
※相当昔に書いた前編を最新の方に上げてあります。よかったらどぞー
というわけで、内容忘れている方多いでしょうが、よかったらカテゴリから読み直していただけると幸いな所。
※相当昔に書いた前編を最新の方に上げてあります。よかったらどぞー
―――翌日。
彼の日常は、いとも容易く崩れおちる事になる。
「真彩……が……?」
その知らせを聞いたのは、朝、台所に立つ母親からだった。。
「ええ……今日は学校お休みしてもいいから、葬儀、行ってあげなさい?」
どうして、なんで?
思考が追いつかない。
気付いた時には、彼は家を飛び出していた。
三軒隣、赤の屋根。
荒れた息もそのままに、家に飛び込む。
「恭一くん……」
喪服を着た真彩の両親、そして、その向こうに見える親族と思しき人の姿。
その奥にある、細長い、木の箱―――。
「真彩っ!」
それは、今まさに火葬されんとしているところだった。
―――嫌だ。そんな、死に目にも…会えないなんて。
気が付けば飛びださんとしている彼の体は、数人の大人に抑えられていた。
「離せ……離せよぉぉぉぉ!」
・
・
・
・
そこから先の事を彼は今になっても、あまり思い出せない。
帳の降りた公園、その中を一人、幽鬼のように、目的もなくさ迷い歩く――なんと滑稽なんだろうか。
これが夢ならばどんなに良かっただろう、朝起きたら、いつも通りの日常がそこにあったなら。そんな事ばかりが思考を占める。けれど、自分の立つこの場所には、明らかに『現実』がつきつけられていて、彼女はもう二度と戻ってこない。それが、現実。
「本当に、そう?」
―――声が聞こえた。少し高めで、よく通った声。
そんなはずはない。でも、もし、本当だとしたら。
かすかな希望と共に顔を上げる。そこには―――――。
「………真彩?」
死んだはずの人が、そこにいた。
「ねえ、恭一……覚えてる? 今日、私の誕生日だったんだ」
そういえば――と、そんなことを今、ふと思い出す。昨日、彼女が何か言おうとしていたのは、あるいはそれだったのだろうか。思考を巡らせる事数秒。彼女は、恭一の胸元に近づいて行く。
「私…ね、欲しいものが、あるんだ……」
「…なんだい? なんでも、用意してやるよ」
しなだれかかるその体を、受け止める。冷たい感覚が皮膚を通して伝わる。まるで、血が通っていないかのような――。
「恭一の血が……欲しい」
「……真彩?」
「いいでしょ? 私の、誕生日プレゼント……」
「……どうしたんだ?」
血を望む…そんなこと、明らかにおかしい。彼の中の理性が考えているうち、気がついた時には腕の中の真彩の様子が、段々ただならぬもののように感じられていく。
「真彩、震えてるよ…寒いのかい?」
季節はまだ春――段々暖かさを越えて少し暑さすら感じる季節。寒さはほとんど感じない…なのに、彼女の体温はまるで『死んでいる』かのように冷たく――――。
「お願イ……時間が…足リなイノ……」
袖をめくり、僕の腕に爪をつきたてる。そこから滲んだ血を、彼女は舐め取っていく。明らかに様子がおかしいのは理解できる。それでも、恭一はそれを拒むわけにはいかなかった。それを拒んだ瞬間、彼女が、いなくなってしまうような気がしたから。
それから真彩は、夜、この公園でだけ、彼にだけ、姿を見せてくれるようになった。
世間的には、彼女は死んだことになっている。真彩はその方が良いと言う。
理解は、できない。納得も、できない。でも、彼女がそれでいいなら、僕もそれでいい。恭一は、そう思うことにした。
毎晩毎夜、この場所で血を与える。それで、彼女がどこにも行かないのならそれでいいのだと、思い込むことにした。
―――それでも。
仮初の生は、いつまでも続くことなんて、ありはしないのだ。
はい、丸1年以上ぶりに書きました続編です、本当にごめんなさい。
さっさと後編も書いて、偽シナまでつなげようと思います。
ホントに申し訳ないと言わざるを得ない……。
世界の終りも宣告された以上、しっかり個々人の物語も終わらせてあげたいものですね。
彼の日常は、いとも容易く崩れおちる事になる。
「真彩……が……?」
その知らせを聞いたのは、朝、台所に立つ母親からだった。。
「ええ……今日は学校お休みしてもいいから、葬儀、行ってあげなさい?」
どうして、なんで?
思考が追いつかない。
気付いた時には、彼は家を飛び出していた。
三軒隣、赤の屋根。
荒れた息もそのままに、家に飛び込む。
「恭一くん……」
喪服を着た真彩の両親、そして、その向こうに見える親族と思しき人の姿。
その奥にある、細長い、木の箱―――。
「真彩っ!」
それは、今まさに火葬されんとしているところだった。
―――嫌だ。そんな、死に目にも…会えないなんて。
気が付けば飛びださんとしている彼の体は、数人の大人に抑えられていた。
「離せ……離せよぉぉぉぉ!」
・
・
・
・
そこから先の事を彼は今になっても、あまり思い出せない。
帳の降りた公園、その中を一人、幽鬼のように、目的もなくさ迷い歩く――なんと滑稽なんだろうか。
これが夢ならばどんなに良かっただろう、朝起きたら、いつも通りの日常がそこにあったなら。そんな事ばかりが思考を占める。けれど、自分の立つこの場所には、明らかに『現実』がつきつけられていて、彼女はもう二度と戻ってこない。それが、現実。
「本当に、そう?」
―――声が聞こえた。少し高めで、よく通った声。
そんなはずはない。でも、もし、本当だとしたら。
かすかな希望と共に顔を上げる。そこには―――――。
「………真彩?」
死んだはずの人が、そこにいた。
「ねえ、恭一……覚えてる? 今日、私の誕生日だったんだ」
そういえば――と、そんなことを今、ふと思い出す。昨日、彼女が何か言おうとしていたのは、あるいはそれだったのだろうか。思考を巡らせる事数秒。彼女は、恭一の胸元に近づいて行く。
「私…ね、欲しいものが、あるんだ……」
「…なんだい? なんでも、用意してやるよ」
しなだれかかるその体を、受け止める。冷たい感覚が皮膚を通して伝わる。まるで、血が通っていないかのような――。
「恭一の血が……欲しい」
「……真彩?」
「いいでしょ? 私の、誕生日プレゼント……」
「……どうしたんだ?」
血を望む…そんなこと、明らかにおかしい。彼の中の理性が考えているうち、気がついた時には腕の中の真彩の様子が、段々ただならぬもののように感じられていく。
「真彩、震えてるよ…寒いのかい?」
季節はまだ春――段々暖かさを越えて少し暑さすら感じる季節。寒さはほとんど感じない…なのに、彼女の体温はまるで『死んでいる』かのように冷たく――――。
「お願イ……時間が…足リなイノ……」
袖をめくり、僕の腕に爪をつきたてる。そこから滲んだ血を、彼女は舐め取っていく。明らかに様子がおかしいのは理解できる。それでも、恭一はそれを拒むわけにはいかなかった。それを拒んだ瞬間、彼女が、いなくなってしまうような気がしたから。
それから真彩は、夜、この公園でだけ、彼にだけ、姿を見せてくれるようになった。
世間的には、彼女は死んだことになっている。真彩はその方が良いと言う。
理解は、できない。納得も、できない。でも、彼女がそれでいいなら、僕もそれでいい。恭一は、そう思うことにした。
毎晩毎夜、この場所で血を与える。それで、彼女がどこにも行かないのならそれでいいのだと、思い込むことにした。
―――それでも。
仮初の生は、いつまでも続くことなんて、ありはしないのだ。
はい、丸1年以上ぶりに書きました続編です、本当にごめんなさい。
さっさと後編も書いて、偽シナまでつなげようと思います。
ホントに申し訳ないと言わざるを得ない……。
世界の終りも宣告された以上、しっかり個々人の物語も終わらせてあげたいものですね。
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