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PBW(プレイ・バイ・ウェブ)『シルバーレイン』のキャラクターブログです。 わからない人にはわからないかも…。
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 もうそろそろ書いてみようと思いました、恭一の小説。

今回は恭一が能力に覚醒する時~使役のマヤにまつわるお話。

三部作になるので、飽きずに読んでいただければ幸いなところ。


 その時はまだ、神谷・恭一という存在はどこでもにいるただの中学生で、マヤはただの伊藤・真彩という幼馴染だった。




「やれやれ、現実は救い難いもんだよ」

「もう、恭一ったら、そんな小難しいこと言ってたらすぐにハゲちゃうよ? こんな美少女が腕を組んであげてるんだから、もっと素直に喜びなさい? あっ、コラ、歩くの早いぞー?」

 春の息吹の名残が残る皐月の夕方、住宅街の小さな路地を、一組の制服姿の男女が歩いていた。

 恭一、と呼ばれた方の眼鏡をかけた少年は、自分の右腕に自らの腕を絡める少女からは目をそらし、恥ずかしげに早足で歩く。少女は少し引っ張られ気味に半歩後ろを歩く。

「う、うるさい。真彩はもう少し人目とかを気にしろ。恥ずかしいだろ?」

「全然、それに、人いないし」

 即答。確かに、通りには二人を除いて誰もいなかった。あたりを見回して初めてそのことを確認する、幼馴染とはいえ、異性と認めてしまった彼女とこのような状態は非常に恥ずかしい、という恭一の思春期な気持ちが一人空回りしていた。

「ひょっとして恭一、ホントは嬉しいけど、素直に喜べないってヤツ?あは、かーわいー♪」

 とはいえ、そんな純情も、全てお見通しではまるで形なしで。

「~~~!? う、うるさいっ」

「あん、もう、恭一、待ちなさいよー」

 強引に腕をほどいて、先ほどよりも早足に歩く。もちろん、一応後ろは気にする。と、数メートル歩いたところで、真彩の足が止まった。

「? どうしたんだよ?」

 先ほどとは様子が違っていた。雰囲気、気配、適当な言葉が見つからない。そして、やや俯きながら、真彩が口を開く。

「あ、あのさ、恭一、明日は、私の……」

 何事か口が開く、が、恭一にはその言葉は聞き取れなかった。

「? 何?」

「……なんでもない。ほら、帰るよっ」

 そう言うと、今度は恭一の前を早足に歩く。その心の機微は、恭一にはわからなかった。

「やれやれ、これだから、現実は救い難いんだ」

 そうして、一日が更け、また朝日が昇る。どうせまた、明日になれば機嫌も治っているだろうと、軽く嘆息しながら後を追う。そんな当たり前のような日常を、明日も想像した、しかし。

 恭一は何も知らなかった。世界の姿も、本当に救いがたいものは何かも。

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